スマートフォンは今やどこの国に行ってもみんな持っています。途上国においては、固定電話インフラを整備するよりも携帯電話の基地局を整備する方がトータルでははるかに安上がりなので、その普及するスピードは先進国以上かもしれません。手元で情報検索やホテル予約ができてしまうスマートフォンの登場は、旅のしかたを大きく変えたといえるでしょう。スマートフォンは海外への自由旅行のハードルを思いっきり下げたといっても過言ではないでしょう。
SIMフリースマホをつかう
スマホのSIMフリー化
海外旅行でスマートフォンを使いこなすには、現地の電波(基地局)にアクセスできるようにしなければなりません。大手携帯電話会社では「海外パケット○○」というメニュで、国内で使用しているスマートフォンをそのまま海外ででも使用できるサービスがありますが、1日千数百円と結構高額です。しかも容量の上限が決まっていてビクビクしながら使用するのは精神的に良くありません。じゃあどうするのかというと、現地の人が使っているのと同じ会社(キャリア)の回線を使うのです。現在の携帯電話はSIMを入れ替えるだけで、海外であってもその会社の回線に接続できるようになっています。ただ、日本国内の大手携帯会社が販売している端末(スマホ)はその会社でしか使用できないようにスマホ側にロックがかかっているので、それを解除しなければなりません。
と言っても面倒なことは何もありません。各携帯会社のホームページにロック解除の方法が示されていますので、その手順に従って操作するだけです。自分でやれば無料でSIMロック解除はできます。ただし購入後90日以内はロック解除できないという縛りがあるので、早急にロックのないスマートフォンが必要な場合は、携帯電話会社からではなく、メーカの販売店(Apple Storeなど)で購入しましょう。ロック解除の手順は簡単ですが、どうしても不安な場合は携帯会社の窓口でやってもらうこともできます。ただし手数料が3000円程度かかります。

現地SIMの購入
スマートフォンのSIMロック解除ができたら、それをもって旅に出ましょう。到着地の空港には大抵SIMの販売窓口がありますので、そこでSIMを購入します。データのみのプランとデータ+通話両方のプランがそれぞれ容量ごとの価格で販売されていますので、滞在日数によって必要な容量のプランを購入すればよいです。現地のガイドさんなどに電話する必要があれば通話プランが必須ですが、そうでなければデータのみのプランでOKです。データのみのプランでもLINE電話やスカイプはできます。
メジャーな機種であれば、SIM入れ替え後の設定はすべて窓口でやってくれます。大抵はSIM入れ替え後にSIMのアクティベートが必要なので、知識がない人は全部係の人にやってもらってください。画面設定を英語にしておくようにという記事も見かけますが、英語圏でない限り日本語のままで大抵大丈夫です。
当然SIMを入れ替えると電話番号は変わってしまう(現地の電話番号になる)ので、日本からの電話を受けることはできなくなります。LINE電話やスカイプ以外の電話番号でかかってくる電話に出なければならない場合は、この方法は使えません。
全世界対応SIMの購入
あまり知られていませんが、大抵の国の通信事業者とローミングができるいわゆる全世界対応SIMというものがあります。旧ソビエト連邦の一部の国ように、外国人がSIMを購入するのを制限している場合があり、通信単価は高くなりますが、そういったどうしても現地SIMが購入できないような状況では役に立ちます。大抵プリペイド式になっていて、残額があれば使い続けられるものが多いようです。私の場合、以前ウズベキスタンに行く際に購入したものを今も使用しています。
中国における注意点
ご存知かと思いますが、中国ではGoogleへアクセスすることができません。同様にfacebookやtwitterへのアクセスもできなくなっています。instagramやLINEも同様です。ということは、中国国内でSIMを購入したとしても、Googleには接続できません。Googleが使えないと困るので、中国へ旅行に行く場合は、中国でSIMを買うのではなく香港で販売されている中国本土向けのSIMを買ってください。わざわざ香港へ行く必要はありません。Amazonで購入できるので旅行の日程が決まったら、早めに注文しておきましょう。
モバイルルータを使う
SIMフリーのルータを入手する
日本から着信があるかもしれないので電話番号を変えられない場合や、SIMフリー化ができない場合はモバイルルータを使用しましょう。スマホのSIMを入れ替える代わりにモバイルルータのSIMを入れ替えて、スマホはwifi環境で使うわけです。SIMフリーのモバイルルータは1万円程度で販売されていますので、適当な機種を買っておけばよいでしょう。ただモバイルルータのような特殊な製品は、販売孫口の係の人でも設定ができない場合があるので、自分で設定できるようになっておく必要があります。私はNEC製のモバイルルータを使用しています。この機種はデュアルSIM対応になっており、2種類のSIMを切り替えて使用できるので便利です。
レンタルルータを借りる
わざわざ買うのはもったいないと思うのであれば、レンタルのモバイルルータもあり、あらかじめ予約しておけば出発時の空港で貸し出しを受けられます。値段は行き先によりまちまちですので、各社のホームページを確認してください。2か国にわたって渡航するような場合は、2セット持たされることがあったりして、荷物が増えるのがいやで最近はほとんど借りることはなくなりましたが、以前はGLOBAL WIFIをよく利用していました。携帯電話やルータなどのバッテリーを含む製品は寄託荷物には入れられないので、すべて機内持込荷物に入れる必要があります。
ホテルやレストランのwi-fiだけで乗り切る
何を隠そう私も短期であれば現地SIMを購入しないことも多いです。その場合はホテルや移動手段(列車など)の予約は全部できていて、最悪電話さえ通じればよいような場合はあえてSIMなしで乗り切ります。それは大変じゃないかと思われるかもしれませんが、以前はスマートフォンなんてなかったのだから、別になくても大丈夫なのです。メールなどはホテルやレストランのwifiを捕まえて定期的にチェックすればよいだけです。
Google Mapのオフライン機能
とは言え、やはり地図はないと不便ですし、GPSで自分の位置が把握できることになれてしまった私たちはなかなか以前のスタイルで旅ができなくなっています。そんな時のために、Google Mapはオフライン機能を備えています。あらかじめネットワーク環境がある国内で、自分のスマホに地図データを保存しておくわけです。GPS機能はネットワーク接続の有無に(あまり)関係ないので、スマホに保存した地図上に自分の位置を表示させることが可能です。
中国ではGoogleが使えないですが、中国の地図をあらかじめGoogle Mapにダウンロードしておいて使用することは可能です。ただし中国域内のGoogle Mapは実際の位置から随分ずれて表示されていますので、使い物にはならないでしょう。なので中国国内を移動する際には「百度(バイドゥ)地図」をインストールしておくことをお勧めします。

同行者との連絡
旅行中に同行者とはぐれてしまったりした時にメールやLINEで連絡を取り合えると安心なのですが、通信環境がないとそうもいきません。その時は料金がかかることを承知でSMS(ショートメール)を使います。文字だけしか通信できませんが、1件送信するのにかかる費用は50円程度。非常用と割り切ればそれくらいは問題ないでしょう。
文字だけでは埒が明かない場合は、あきらめて電話します。電話番号は普段国内で使っているものでOK。国番号はスマホが自動的に付加してくれます。お互い国際電話になるので料金は高いですし、必ずつながる保証はありませんが、状況を考えて仕方のない場合はそういう手段もあることを知っておくだけで安心できます。
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